マザーズバッグ私はマンション購入の相談を受けることが多いが、時にはそれが投資向けだったりもする。

　実は、マクロの視点で考えると、日本国内での不動産投資はリスクが高すぎる。ただでさえ住宅が余っている上に今後は人口減少が顕著になる。なのに毎年９０万戸前後の新築住宅が供給されている。需給のアンバランスは、いつか顕在化し、将来のある時点で資産価値も賃料も急激に下落する可能性を秘めている。

　不動産投資を行うなら、人口が増え、経済が成長しているエリアを選ぶべきだが、そういうところは先進国にほとんどない。自然と発展途上国や新興国になってくる。

　身近なところでは東南アジアだろう。少し前はベトナムやミャンマーへの不動産投資が注目された。こういった国では、私有財産を守る法律の整備が遅れている。

　私は、バリ島に注目している。前回訪問したときに、インドネシアの弁護士資格を取った日本人にいろいろ話を聞いた。彼女は日本で司法試験に挑んでいたが、インドネシア人と結婚してバリに移住。かの地で弁護士資格を得たという。

　「インドネシアの法律は、基本がオランダからきています。つまりドイツ法を基本にしている日本とよく似ています」

　だから、勉強もしやすかったとか。

　バリで不動産を所有している日本人は多いが、それ以上に多いのが欧州系の人々。現地には日本と似た登記制度があり、所有権が法的に保護される。もちろん、日本のそれと比べるとまだ不十分なところもあるが、「党の意向で…」ビジネスバッグなどというお国柄ではない。

　魅力は何よりもインカムとキャピタル、２つの利益が期待できることだろう。少ないものでも利回りは十数％。加えて「５年で価格が２倍になる」と、地元業者たちは考えている。現に過去十年余の動きをみるとそうなっている。

　リスクはある。一番は為替で、ルピアが下がったり、円が上がったり。しかし、それも自然にヘッジされると私は考えている。バリの不動産価格は、世界の好景気エリアの貨幣価値に連動しているためだ。